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リアル水彩ブラシとフローマップの配布

今回はリアル水彩ブラシの紹介と、ブラシ&フローマップの配布になります。
Painter 12.2 のアップデート後に紹介したリアル水彩ブラシに Painter X3 新機能の不透明度の最小値やジッターなどを追加して少し描きやすくしてみたブラシになります。また、描き足しなどで境界が出ない方が使いやすく感じたので、境界の付かないタイプにしてあります。
ブラシは当然のことながら、X3専用ですが、フローマップについては、12でも読み込めることを確認しました。(今回のフローマップはFilterForgeというプラグインソフトのフランス水彩紙を作成できるものを使って作成した画像を元に三種類のフローマップを配布してあります。)
配布は記事の最後にDL出来るようにしてあります。
左図は、今回のブラシでランダムに描画してみたものですが、何度も描き加えることが出来るので、色を変えながら…とか既に描画した部分に描き足すと言ったことも可能です。

ブラシの設定には、前回と同じく、[リアル水彩重ね塗り]と、『不透明度に筆圧の反転』を使っており、筆圧を強くすると色が薄くなり、ぼかし処理を始める前の描画部分であれば、色を落とすことが出来ます。
下に描画中の動画を置いてありますので、可能であれば再生して確認してみてください(ブラウザが対応してないと再生しないかもしれません…すみません(__))。

左右どちらも円を描いたものですが、左のタイプ1は単純に円を三重くらいに重ね描きしてストロークを離したもの、右のタイプ2は三重くらいに重ね描き後に筆圧を強くして、広く塗り広げたものです。
アナログ水彩などで、にじみを広げたい場所に水を塗っておくような感覚ですが、このブラシの場合は、先に濃い色をおいてから塗り広げる部分を強い筆圧で描くので、アナログとは逆の手順になります(先に強い筆圧で塗り広げてからでも描画は可能ですが、後からのほうが扱いやすいかなと思います)。
ワンストロークで全て描く必要はありませんが、ぼかし処理が始まる前に描いた部分のみが色の広がりの対象になるので、注意してください。また、作業時は[ぼかしの一時停止]は使用しないでください。色が綺麗に広がりにくくなります。
複数の色を使う場合、選択色はぼかし処理の開始前ならば変更して描き続けることもできますが、余り時間的な余裕(笑)はないので、色毎にぼかし処理をおこなった方が扱いやすいと思います。
厳密には色の広がり方はフローマップの画像によるので、完全にランダムではありませんが、色の置き方や塗り広げ方、ストロークの向きなどでかなり違ってきます。


さて、この広がりをコントロールするフローマップですが、同じ画像を使っても[倍率]と[コントラスト]を変えれば当然結果も違ってきます。
下図はデフォルト値である[倍率]、[コントラスト]ともに100%と、それ以外を比較したものです。倍率を大きくする場合はコントラストが100%のままでは色の広がりが少し柔らかめになるので、シャープな雰囲気にしたい場合はコントラストも同時に上げるなど変更しながら作業をすると、色々な広がり方をした描画結果が得られます。

フローマップ画像そのものの違いも確認しておきます。
紙目に縦横があるようにフローマップの目の縦横に差があるような画像の場合、色の広がり方に差が出ます。
今回配布してあるフローマップライブラリには三種類のフローマップが入っています(左図がインポートした状態のフローマップライブラリ、各フローマップ名は後述)。
フローマップ画像で、縦横にほぼ差のないもの(フローマップ名:watercolor1)、縦目のもの(同:watercolor2)、横目のもの(同:watercolor3)で下図のように結果に違いが出ます。

もちろんストロークの向きなどによっては、縦目のものでも横に流れることがありますが、同じように丸く描いた場合にはフローマップの違いによって結果にも多少の違いが出ます。
たとえば、縦目のものは縦により広がりやすくなるので、そういった方向に流したい時には縦目のフローマップ画像を選択するとよいでしょう。

もう少し完璧に色の広がる方向をコントロールしたい場合は、[リアル水彩]設定の[風]設定を利用します。
[角度]を入力することで、その方向に色を広げることが出来ます。このとき、[角度]だけでは反応せず、同時に[力]も入力します。[力]は「0」では風が吹かないのと同じなので、いくら風向きを決めても意味がないという訳ですね(笑)
大体、今回のブラシだと60~100くらいで影響が出ます。
下図は[力]を85%に設定して、[角度]を変更して描画した結果になります。

一定の方向に綺麗に流れるので、花びらなどで一定方向に向けて色を広げたい場合などに利用すると効果的だと思います。ただし、[力]の値が大きい時には、ストロークの向きと[角度]があっていないと、逆に色の広がりが汚くなるので注意してください。
下図は斜めにした四角枠に色の流れの向きが揃うように[角度]を設定して描画したものです、試しに分度器を画面上に表示できるフリーソフトを利用して枠の角度を測ってみたところ、ほぼ38度だったので、リアル水彩の[角度]設定には322度(360-38)を入力して描画しました。

アナログでは色を広げたい方向に紙を傾けたりドライヤーを使ったりしますけど、まぁそんな感じになるでしょうか…(笑)


今回のブラシでは、選択色にも少し注意をしておくと良いと思います。というのも、最後に色を広げるので、薄い色になる部分が出ますが、選択色の色相によっては、近い色に思えても、落ちる時の色が違うことがあります。たとえば、ピンク系の赤と黄色系の赤であれば、濃い色の赤にそれほど大きな違いはないように思えても、落ちて出来た色は黄色(オレンジ?)とピンクなので、かなり仕上がりの雰囲気が変わります。
下図は色相が85と87と2ほど違う選択色でそれぞれ描画したものです。

もちろん濃い色のときにも若干の色の違いは出ていますが、色が薄くなるにつれて、色の差が大きく見えるのではないかと思います。色相の中間辺りでは、ちょっとの違いでこういったことが起こりやすくなるので、選択色での試し塗りをしておくと発色に対して「あれ?」ということがなくなると思います。


では、最後に今回の配布ファイルです。ブラシ、フローマップともに専用のファイル形式になっていますので、ファイルをダウンロードして保存後に、それぞれPainter上からインポートしてください。(フローマップはフローマップライブラリからインポートします。フローマップのファイルサイズが少し大きくてすみません。)
ブラシバリアント(ch_rw flowmap 13.brushvariant(5.37KB))
フローマップライブラリ(ch_flowmap13.flowmaplibrary(888KB))


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