Painter 11の「速度」設定について
『Painter 11』のブラシ設定では、表現設定の「速度」に対する反応がこれまでより良くなり、色々と応用が利くようになりました。
それを利用して、ここのブログでもいくつかブラシのカスタマイズをおこなってきたのですが、「速度」への反応に対しては、ブラシトラッキングでしかおこなえないと思っていた為、「速度」を利用する際には、ブラシトラッキングの「速度スケール」値などを修正して下さい…というようなことを書いていたわけですが…。
な~んと…ブラシの設定内に、速度の関連設定があるらしいことが判明しました。
といっても、私もかぶら屋さんに教えていただいた訳なんですが…(^^;)
実はこの設定値、ペインター内のブラシコントロール(またはブラシクリエータ)上には、表れない数値で…ブラシバリアントのXMLファイルを修正しないといけないようなのですね(現時点では…)。
バリアントのXMLファイル内の169行目にある
velocity-bias=""
という数値が、それにあたります。
デフォルトでは(全部調べたわけではないですが、ほとんどのバリアントで)1.0になっています。
数値を変更してみたところ、0.1~100.0位(それ以上でもエラーは出ないみたいですが。)まで設定できました。
で、どのように違いが出るかということですが…。
テストは、ブラシトラッキングの「速度スケール」値を、普通にトラッキング上で描画したときに現れる数値辺り(Windowsの場合)の2.18でおこないました。
使ったのは、前々回辺りにカスタマイズした「筆」ブラシです。
その時にも、速度スケール値が低いと、速く描いたとき(描き終わりのしっぽ辺り)が出ないので…トラッキング必須!と書いたのですが…。
下図のように、デフォルト値では描き終わりのしっぽ部分が描画されません。
一方「Velocity-bias」に、それぞれ「15.0」「50.0」を入力したものでは、描き終わりまで色が表現されています。
この「Velocity-bias」に入力する値が大きくなればなるほど、速度に対する描画の反応がゆっくりになるようです。
ブラシトラッキングでは、ブラシバリアント毎の設定が出来ませんので、速度に大きく反応させたいサイズ関係のブラシ(リアルペンなど)と、今回の筆ブラシのように、反応を小さくしたいブラシを同時に使うことが出来ません。(そのたび毎にトラッキング値を変更しないといけない訳ですね)
が、この「velocity-bias」の数値設定をすれば、個別に対応できるようになるので、ものすごく便利です。
これでさらに「速さ」設定が使いやすくなったのではないかと思うのですが…いかがでしょうか。
XMLからの修正になりますので、デフォルトのブラシだと「別名保存」してからそのXMLファイルに対して修正をおこなう必要があります。
(もちろんインストールファイル内のブラシバリアントのXML自体を修正しても駄目なわけではありませんが…念のため)
また、頭に「c_」のついたXMLファイルは作業用ファイルですので、これを修正した場合は、ペインター側で再度保存し直す必要があります。
一番安全な手順としては、次のようなものになるかと思います。
1.ペインター上で、変更したいバリアントを選択、「バリアントの保存」をおこなう(デフォルトのブラシの場合、そのままの名前をつけると、同じブラシが二つできてしまうので、別名をつけた方が安心)
2.エディタソフトを起動して、以下のフォルダから該当のブラシフォルダを選択し、先ほど保存したバリアントのXMLファイルを探して、開く。
● Winodows(全てのファイルとフォルダを表示させる必要があります)
C(Windowsインストールフォルダ):Documents and Settingsログイン名Application dataCorelPainter 11作業領域名(初期状態のものでは「デフォルト」)Brushes
●Mac
Macintosh ハードドライブ : ユーザ : __お使いのユーザ名__ : ライブラリ : Application Support : Corel : Painter 11 : 作業領域名(初期状態のものでは「デフォルト」): Brushes :
3.169行目のvelocity-bias="1.0">を探して、数値を変更する。(0.1~100.0位までOK。100だと、ほとんど速度に反応しない)
4.エディタソフト上で、XMLファイルを上書き保存する。
5.ペインターに戻って(エディタソフトでの作業時、メモリ的に問題なければ、ペインターは起動したままでOK。)先ほど別名保存したバリアントを選択する。
6.ブラシパレットから「バリアントをデフォルトに戻す」を実行する。
6を忘れないようにして下さい。
でないと設定が反映されないかもしれませんので…。
何で、ブラシコントロール上に追加されてないのか、非常に残念なのですが(付け忘れたのか!?)当面はこの方法で、修正が可能ですので、トラッキングでは面倒という場合は、この数値を修正してみて下さい。
(一応、XMLの修正なので、作業に関しては、自己責任でお願いします(__))
実は、そのほかに「粗さ」に関する設定値も、密かに変更できる箇所が増えているようです。
min-grain="0.0"
max-grain="1.0"
というところなんですが(62,63行目)…。
これも結構使い道がありそうでして…デジタル水彩の粗さ関係とか!
また、もう少し詳しく確認できたら報告します。