Painter IX 「デジタル水彩」使用上の注意 

  1. デジタル水彩の「ぼかし」と選択色の関係
  2. 「水彩境界」と「筆先タイプ」の関係
  3. デジタル水彩と「コピー」&「ペースト」等における問題
  4. デジタル水彩とスポイト機能
  5. デジタル水彩のぼかしが出なくなる状況 (2005.3.9追記)
  6. キャンバスへの描画とレイヤーへの描画の結果が違う?? (2005.3.9追記)

Painter IXで大きく進化(?)した「デジタル水彩」ブラシですが、使っていくうちに少しずつ問題点も出てきました。
今回はそれらの問題点をまとめてみたいと思います。
前回の「Painter IX 体験版」内のデジタル水彩項目も参考にして下さい。

1. デジタル水彩の「ぼかし」と選択色の関係

「ぼかし」の値が「1」以上(ぼかしのついた)の「ブラシ」で描画した場合、選択色によってはきちんとぼけてくれない場合が あります。
基本的に、薄い色はボケ足が悪いです。(下図では分かりやすいように、ぼかしを最高値にして描画してます。)
色の重ね方による違い1また濃い色の上から薄い色を描画すると境界の部分はまったくぼけてくれません。
(明度差によります。明度の低いブラシの上から明度の高いブラシで描画すると、ぼかしが出ません。)
←図では、左側は薄い水色の上から、濃いめの青を塗りました。
この場合はきちんと、それぞれの色の境界が同じようにぼけています。
一方右側は同じ色を使っていますが、最初に濃い色を塗りその上から薄い水色を重ねました。
色はきちんと薄い色で出ていますが、濃い色との境界部分にぼかしが表現されていません。

これは別段片方が薄い色だからという訳ではないようで、似たような濃いめの色でも、少しでも薄い色を重ねると、境界にぼかしが表現されなくなります。
色の重ね方による違い2 次の←図では、左から順に色を重ねています。
似たような色ですが、2色目が少し濃いめ、一番右側(3回目の重ね)には、一色目の色を再度使いました。
3回目の重ねの部分では、2色目の濃い色との境界のぼかしが出ていません。
実は、この症状、Ver.6の水彩でも同じに出ていたんですね…。
一応、Corelサポートには報告してあります。改善点にはあげてくれたそうなのですが…。
こんなところまでVer.6の水彩にあわせなくても良さそうなものですが…(笑)
ちなみに、Ver.8のデジタル水彩では、明度の高いブラシを重ねても、きちんとぼかしが出ました。
とはいえ、あれはあれで、ぼかしの状態がひどかったので、比較すべきものでもないですが…。

2.「水彩境界」と「ブラシチップのタイプ」の関係

ブラシチップのタイプ(筆先)が「水彩タイプ」(ブラシのアイコンがブラシの形の形のもの)以外を選択した場合、「水彩境界」の値を変えると、描画されている部分の色が薄くなったり、白い縁がでたりしてしまいます。

例えば、水彩タイプ以外のブラシチップタイプのブラシ(例では「Fine Tip Water(日本語版の名称は「極細水彩」)を選択して、普通に色を塗ります。
このブラシは基本で水彩境界が0ですが、この値をまずは「20」に変えてみます。
色が少し薄くざらざらした感じなります。
水彩境界(図では英語版の名称でWetFringe)を100に変えると、ほとんど白に近いような色になってしまいました。
Wet Fringe=0Wet Fringe=40Wet Fringe=100
こういった結果は色が薄くなるだけではありません。
水彩タイプのブラシ(例では「New Simple Water(新シンプル水彩)」を分かりやすいように水彩境界を50に設定して描画した)で二色描画後に、の境界を水彩タイプ以外のブレンドブラシ(例では「New Simple blender(新シンプルブレンド)」)でぼかします
(下左図)。
このブラシを使った段階では水彩境界が0の為きれいに見えますが、更に塗りを続けようと水彩タイプのブラシを選択した時点で、下右図のような結果になってしまいます。
ぼかしと水彩境界1ぼかしと水彩境界2
このように、筆先タイプが水彩タイプとそれ以外のものを混在させた場合、水彩境界を変えると結果が悲惨なことになってしまう事があります。
標準のブラシに入っているものはほとんどが水彩タイプですが、一部のブラシやブレンド系のブラシまたデジタル水彩消しゴムには、水彩タイプ以外の筆先タイプが選択されています。
例えば、上のような状況になって、まずい…という訳で「水彩消しゴム(筆先は水彩タイプではない)」を使って、境界部分を消したとします。
消した時点では、きれいに消えているように思うのですが、元と同じ状況に塗ろうとすると…。
消しゴムと水彩境界1消しゴムと水彩境界2
先ほどのような悲惨な結果に逆戻り…。こうなってしまうと、水彩境界を0にしない限り、どうにもなりません。
というような訳で、基本的にデジタル水彩は、「水彩タイプ」と他の筆先タイプを混在させないようにしてください。
(特に、水彩境界をつけたい場合)

ただし消しゴムに関しては、他の筆先タイプ(通常、消しゴムは水彩タイプではないので)でも「水彩タイプ」と同時に使うことが出来ます。
(ブレンド系のブラシで他の筆先タイプを使ってしまうと、消しゴムを使った後も上記のように結果がおかしくなる事があるので注意)
おかしくなってしまった場合、筆先を水彩以外のものにして、「ぼかし」を「1」以上にしたブラシで描くとなおすことができます。
(ただし、この場合必ず「透明度ロック」のチェックを外す必要あり。キャンバスにも影響するので、レイヤーがない場合は一旦レイヤーを作って透明度ロックのチェックが外れているかの確認が必要)
水彩境界を0で使う場合は、特に気にする必要はありません。

また水彩境界の値は、描画後でも全てのデジタル水彩の部分で変更されます(ぼかしの値が0以外の場合は、ぼかし優先のため水彩境界は出来ない)ので、描画時には0で描いたが途中で水彩境界を変えたくなった(水彩境界の値の違うブラシを使った)といった場合にも、注意が必要です。
その際は、事前に境界の値によって変化してしまう部分を「デジタル水彩乾燥」させておくか、別レイヤーに描画して(描画時は表示が変になりますが)、最終的に「デジタル水彩乾燥」する際にそれぞれの「水彩境界」に数値を変えて乾燥させるなどして対処します。

「水彩境界」の問題に関しては、JUMAさんのサイト「梅の実」さまで、詳しい状況が解説されています(ノイズの発生条件など)ので、
そちらを参考にして下さい。(CG講座・Painter IX 内)

※面白い使い方
水彩タイプのデジタル水彩ブラシ(「新シンプル水彩」等)で描画した後、あえて水彩タイプ以外のブレンドブラシ
(「新シンプルブレンド」等)の水彩境界を20前後の値にして、上から塗り潰していきます。
少し薄い色になりますが、ざらついた感じになってテクスチャとは違う雰囲気がでます。


ただし、上手く使わないと思った結果が出なかったり、おかしな状態になってしまうことがあるので、注意が必要ですが…。

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