5. デジタル水彩のぼかしが出なくなる状況

以下の状況で、「ぼかし」のついたデジタル水彩ブラシを使用すると、ぼかしが出なくなります。

9.1へのアップデータ適用後は、処理結果が変わってきます。
適用後の結果については、Painter講座雑記2005年8月28日分を参照して下さい。(8/29追記)

  1. レイヤー上で「選択範囲」→「全て選択」した状態で描画した場合。(「透明度ロック」のチェック「なし」「あり」ともにでない)
  2. キャンバス上で「全て選択」→「レイヤーに変換」後、変換したレイヤーの「透明度ロック」にチェックをつけて描画した場合。
    (2の補足…レイヤーに変換後、「再変換」→「選択解除」をおこなうと、「透明度ロック」にチェックをつけても、ぼかしが出るようになる。)

1はあまり使うことがないかもしれませんが、2の状態で使用することはありそうなので、注意して下さい。
補足の方法で、一旦「再変換」→「選択解除」をおこなうと、通常通りの描画が出来るようになります。

また、一部選択時のぼかしに関しては以下のように結果に差が出ます(基本的には「全て選択」時に近い状態です。)

  1. 一旦「再選択」後「選択解除」。その後に「透明度ロック」で描画。
    ぼかし検証5全ての部分で、ぼかしが出る。
    選択範囲の外側にぼかしがひろがる。

このように、同じ選択範囲をとって描画しても「キャンバス」と「レイヤー」、透明度ロックの有無によって結果が変わってきてしまいますので、描画時には注意が必要です。

6. キャンバスへの描画とレイヤーへの描画の結果

デジタル水彩ブラシを使っていて、キャンバスへの描画とレイヤーへの描画、同じブラシを使っているにも関わらず、どうも描画結果が違うと思われたことはないでしょうか。
あまり感じないという方は、以下の件は全然無視して貰って構いません。
筆圧や選択したバリアントにもよるようなので、必ずそう感じる というものでもないようです。
私の場合、筆圧を弱くして描いたりブレンド系のブラシを使うと、キャンバスに描いた時とレイヤーに描いた時の結果がどうも違うように感じました。
そこで、スクリプトを使って、同じ色、同じ筆圧になるようにして、キャンバスに描いた場合とレイヤーに描いた場合を比較しました。
レイヤーへの描画検証1 スクリプトに使用した色が左図上部の丸です。一番左は白なので、見た目が見えませんが…(笑)
スクリプト記録したものをそれぞれキャンバス上とレイヤー上で再生しました。
下側2つがキャンバスで、上側2つがレイヤーです。
それぞれ四角を描画の後に、上に色を載せました。
全体的にレイヤーのほうが色が薄いような感じです。 (白はレイヤーのほうが濃くでる…(笑))
また、キャンバスでは、同色の場合上から筆圧を低くして描いても白っぽくなりませんが、レイヤーではその時の筆圧に応じた色で塗り替えされるような感じになりました。
同じ事を試してみようと思い、四角く塗った後、筆圧を弱めて、真ん中に同色を塗りました(これはワンストロークで描画しています)。
レイヤーへの描画検証2 使用したのは、「新シンプル水彩」です。
左がキャンバス、右がレイヤーです。
レイヤーのほうは、筆圧を弱めて描いた部分がやはり、白っぽく塗られています。
また、ブレンド系のブラシである「新シンプルブレンド」をレイヤー上で使用すると、色がどんどん落ちていってしまいます。
これは、ブラシコントロールの「塗料」の「にじみ」設定の値などによって、変わってくるようなのですが、どうにも使い勝手が悪くて仕方ありません。
なんとか、キャンバスと同じ状態でレイヤー上でも塗ることが出来ないかと思っていろいろ試してみたのですが(もちろんレイヤー用に設定を 調節したブラシを作成することも可能ですが…)
どうやら、レイヤー描画時に「透明度ロック」にチェックをつけると、同じブラシを使った場合、キャンバスと描画結果が同じになることが分かりました。

「透明度ロック」をレイヤー上で使用するのは、ある意味危険でもあるのですが(筆先が水彩タイプ以外のブラシを使うと問題が起こる、ぼかしが効かなくなる事がある…等々)その辺りを理解した上で使用する分には、キャンバスと同じブラシで同じ描画結果が得られるという利点はありますので、一応覚えておいていただくとよいかと思います。
(逆に使用した場合の注意する点も覚えておかないとまずいですが…。とにかく色々な状況で描いてみて、自分のスタイルにあった方法をとるとよいと思います。)

とはいえ、新規レイヤーを作った時点では透明の状態ですから、そのままでは「透明度ロック」にチェックを入れて描画するなど無理な話です。
そこで、その場合は、まず「透明度ロック」のチェックを外した状態で、「白」を選択して、「塗りつぶし」を実行します。
これでレイヤー全体が塗り潰されますので、合成方法を「フィルタ」に変更して、「透明度ロック」にチェックを入れ、デジタル水彩で描画していきます。
デジタル水彩の合成方法は基本で「フィルタ」ですので、全体が透明でなくても問題はありません。
もちろん、レイヤーは透明情報がないと困る…という場合はこの方法は使えませんので、やはり、ご自分のスタイルに合わせて… という形になると思います。

まだまだ注意点や問題点などあるかもしれないのですが、とりあえず気になったものだけ…を載せてみました。
多少なりとご参考にしていただけると嬉しいです。

2005/3/9日本語版の名称に変更、及び5.6を追記

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