ペインターのスクリプトを活用する

  1. 事前準備からスクリプトの記録
  2. 記録したスクリプトの汎用性を上げる
  3. 完成と利用法
  4. 他にも作ってみる

1.事前準備からスクリプトの記録

今回はPainterのスクリプトをPhotoshopのアクション的に使う際の注意点や小技などを紹介したいと思います。
何故今頃スクリプト?な訳ですが、きっかけは、OSをWindows7の64bitにしたところ、一部のフリーのプラグインファイルが使用出来なくなったことでした。
特にアナログの線画を取り込んで周囲を透明にするためのプラグイン「Transparency Examples」が使えなくなってしまったのには、困りました。
もちろんPainterの基本機能のみで同じ事が出来るのですが、行程が面倒です。
でも使えないものは仕方ない…じゃ面倒な行程をスクリプトでやらせてしまおうと思った訳です。
Painterのスクリプトというと、描画過程の再生的な雰囲気が強いのですが(デフォルトで入っているスクリプトもそういったものなので)結構アクション的な使い方も出来ます。
そんな訳で、線画を抽出するスクリプトを作ってみることにします。
その前に「線画抽出」作業って、どんな行程でやるの?という方は下の作業工程を確認してください。

「線画抽出」作業の工程(クリックで開きます)

(色々やり方はあると思いますが、一例として)
事前準備として、線画の画像を開いておきます(これはさすがにスクリプトには組み込めません…(笑))
線画の画像(JPEGやPNG、BMP等通常の画像ファイル)は開いたままだと、画像がキャンバスにあります。
(ゴミ取りや色調補正は完了している、また線画は一応黒で描かれているとします)
ここからの行程はこうなります。
1.ツールバーの「選択」→「自動選択」(参照元:画像の明るさ)で線画部分を選択
2.ツールバーの「選択」→「レイヤーに変換」
3.レイヤーの「透明度ロック」を「オン」にして、選択色に黒を選択し、レイヤー全体を塗りつぶす
4.キャンバスを選択して、全選択後、消去(BackSpace)
大体こんな感じでしょうか。
3の選択色は例のプラグインが線画を黒で描画していたので、あわせてみました…(笑)
4はキャンバスに残ったゴミを綺麗にするという行程です。
これで、プラグインとほぼ同じ動作をおこなうことが出来ます。
ここまでの作業をスクリプトに記憶させるというのが今回の目標です。

1.事前準備

●オプションから「開始時の環境を記録」のチェックを外す。(必須)

記録を開始する前に、オプションを変更します。
スクリプトパレットのメニューから「スクリプトのオプション」を開きます。
デフォルトでは「開始時の環境を記録」にチェックが入っていますが、このチェックは外します。
オプションのチェック確認
というのも、アクション系として使う場合は、現在のテクスチャ等の設定を保存しておくと汎用性がなくなってしまうためです。
このチェックを外すと、単純に記録中の作業のみが記録されます。

●記録作業の為の画像を用意

記録作業時には当然画像が必要になるのですが、ここでちょっと一工夫しておきます。(別に必須ではないですが…)
300×300ピクセル程度(正方形がよい)の新規画像を作成して、今から作りたいスクリプトの名前をテキストで画面全体に書いておきます。
記録用画像参考左図のような感じですね…別にテキストで作らなくても自分で適当に文字を書いてもよいですし、アイコンっぽい画像にしてもよいです。
とにかく、後でアイコンとして使えそうな画像にします。
何故こんな面倒なことを…と思われるかもしれないんですが、実はスクリプトのアイコンは、記録時(停止した時の)の画像がそのまま使われるんですね。
後でこのアイコンを利用したいので、分かりやすいものにしておいたという訳です。
テキストの場合はテキストレイヤーになっているはずですので、キャンバスに固定して、手順の事前準備であるアナログ画像を開いた時の状態と同じ、キャンバスのみに画像がある状態にしておきます。

2.記録開始から終了まで

ここまで出来たら、記録ボタンを押して、実際の作業工程をおこなっていきます。
作業が完了したら、停止ボタンを押してください。
途中多少失敗しても問題ないので、とりあえず最後まで記録していってください。
(全く失敗した場合は別ですけど…(笑))
※「透明度ロック」などのチェックボタン系は注意
記録中に注意しておきたいのは、「透明度ロック」などのチェックボタン系です。
記録を始める前に既にチェックしてあって、記録中にチェックを入れる必要がたまたまなかった場合でも、「透明度ロック」のチェックという手順はあえて必ず入れるようにします。
「透明度ロック」を一旦「オフ」にしてからもう一度「オン」にします。
まぁこういう事にならないように、記録前にチェックなどは外しておく…ほうがよい訳ですが…(笑)
記録名保存無事に作業工程を終えて、停止ボタンを押すと、スクリプト名を入力するウィンドウが出ますので、スクリプト名を適当に入力します。(今回「線画抽出」と入力しました)

これで、このスクリプトができあがりました…といいたいところですが、そうはいきません。
アクションとして使いたいので、汎用性を上げないといけません。
次はこのスクリプトをどんな画像でも使えるように修正していきます。
(ここから今回のメインです…前置きが長い)

2.記録したスクリプトの汎用性を上げる

3.再生のテストから、「スクリプトを開く」で修正の準備まで

では、どこでも使えるようにする為にはどういう作業が必要でしょうか。
たとえば記録した時に使った画像のサイズは300×300ピクセルですが、実際の作業はそんな小さな画像ではありません。
どんな画像サイズでも正しく処理されるように修正しないといけない訳です。

その前にテスト再生
スクリプトを再生する方法は、2種類あります。
1.スクリプトパレットの「スクリプトセレクタ」から、作成したスクリプトを選択して「再生」ボタンを押す
2.スクリプトパレットのメニューからスクリプトの再生を選び、表示されたウィンドウから、再生したいスクリプトを選び「再生」ボタンを押す。
現在選択中のスクリプトが分かりやすいので、1の方法で慣れるとよいと思います。

今回のテストではちょっと意地悪をして、先ほどの300×300ピクセルよりも少し大きめの画像を用意して、更に選択色を黒以外選択色にしてみました。
先ほどのスクリプトをそのまま再生してみます。


スクリプトを再生させた結果を確認してみると、思っていたような結果が得られていません。
問題点
1.線画部分の色が黒になっていない
 実は、これは正しく変更されている場合もあります。
 Xまでならば、問題ないはず。
 11では、記録時に選択色をどこから選んだかによって異なります。
2.キャンバスの一部にゴミが残っている
 キャンバスのみ表示させた画像を見てもらえば分かりますが、一部分しか、画像が消えていません。
 1の選択色に関しては、11特有のバグがありまして、カラーパレットのトライアングルから選択した色は、
 スクリプトに記述されないんですね。
 キャンバスの一部が残っているのは、先ほど記録した時の300×300ピクセルより大きい部分が作業されていないせいです。

このように、とりあえずのテストで、問題がどこにあるかを確認してみることが出来ます。
問題の箇所が分からない場合は、後述の「コマ送り」再生で更に詳しく確認出来ます。

スクリプトの修正方法としては、次の2種類があります。

  1. スクリプトをエクスポートしてテキストファイルにして、エディタでテキストファイルを修正、再度インポートしてスクリプトにする方法
  2. 「スクリプトを開く」でスクリプト内容を確認しながらPainter内で直接修正する方法

今回は、2の直接修正する方法をおこなってみます。
直接のスクリプト編集の場合、たまに途中でPainterが落ちてしまうことがあります。
当然ですが、こういった編集の際は、不要なファイル等は出来るだけ閉じて(特に描きかけのイラストなど大事なものは!)最悪の場合に備えておいてください。
またスクリプトを編集した後は、一度Painterを再起動させてから通常の作業に入るようにしてください。
スクリプトを開くメニュー
スクリプトパレットのメニューに「スクリプトを開く」という項目がありますので(左図)それを選択して、修正したスクリプトを開きます。
が、その前に。
大事な注意点を一つ。
必ず、スクリプトセレクタで、これから修正したいスクリプトを選択して
おいてください。(下左図)
スクリプトを選択 「スクリプトを開く」をおこなえば、スクリプトセレクタのスクリプトも自動で選択したものに変わってくれるとよいのですが、そうはならないので、分かりにくくならないためと作業中にテストで「コマ送り」再生を試みる可能性もある(開いているスクリプトではなくスクリプトセレクタにあるスクリプトが再生されてしまう)ので、スクリプトセレクタも必ずこれから開きたいスクリプトにあわせておいてください。
万が一、先に「スクリプトを開く」で表示とは違うスクリプトを開いてしまった場合は、開いてからでも問題ないので、気づいた時点でスクリプトセレクタ側のスクリプト表示もあわせておいてください。
という訳で、スクリプトセレクタで「線画抽出」を選んだ後、メニューの「スクリプトを開く」を選択し、「スクリプトを開く」ウィンドウでもやはり「線画抽出」を選んでから「開く」ボタンを押します。
スクリプトを開いてスクリプトパレットに、先ほど記録した「線画抽出」の手順が一覧で出てきます。(左図)
スクリプトは上から順に「スクリプトバージョン」「アーティスト名」「開始時刻」とあり、実際の作業手順、そして最後に「終了時刻」という項目があります。
実際に必要なのは、作業手順部分のみですので、それ以外の項目は削除しても構いません。
が、最近のPainterでは「スクリプトバージョン」の記述がないと、作業手順が記録時のものと変わってくるメニューがいくつかあるようなので、
「スクリプトバージョン」は必ず残しておいてください。
「アーティスト名」「開始時刻」「終了時刻」はとりあえず不要なので、削除してもかまいません。
事前準備で書いたスクリプトオプションの「開始時の環境を記録」のチェックを外さずに記録してしまった場合は、「開始時刻」の後に各種の設定項目がずらずらと並びます。
忘れて記録してしまった場合は、実際の手順より前のものは、全部削除してしまえばOKです。
ShiftキーやCtrlキーを併用して、不要なものを全て選択してから、右クリックの消去で全部消します。
(「消去」やこの後で登場する「コピー」等は右クリックでの選択の他、スクリプトパレットのメニュー内にもありますので、どちらでもお好きな方で…)

4.修正作業

では、修正作業の手順を一つずつチェックしていきます。
手順の作業名の横にある三角マークをクリックすると、設定した内容や数値が表示されます。

●サイズの修正

まず気になるのはサイズ関連です。
レイヤーに変換を確認「レイヤーに変換」の作業の三角マークをクリックして設定した数値などを表示させます。(左図)
上0、左0、下300、右300となっています。
この「下」と「右」の数値が先ほど開いた画像のサイズになってるんですね。
これを汎用的に使えるサイズに変更する必要があります。
自分で使うだけならば、自分が使うと思われる最大のサイズにしてもいいのですが、ここでは16960という数値を入力することにします。
この16960という数値は、Painterで選択出来る範囲の最大値のようです。
これ以上のサイズはPainterでは扱えないので、この値にしておけばとりあえず安心…という訳です。
(「全て選択」と同義と考えてもらってもいいかと思います。)
そこで、「下」と「右」の数値を変更します。
下300とある場所でダブルクリックすると、数値編集の画面が出ます。
数値編集ここで数値を300から16960に変更してOKを押します。
スクリプトパレットの「下」の数値も16960に変わったはずです。
同様に、「右」の項目部分もダブルクリックして、数値編集します。
これで、「レイヤーに変換」部分の数値が編集されました。
(余談:実際のところ、自動選択で画面全体の描画されている部分を選択しているので「レイヤーに変換」は数値編集しなくても画面全体をレイヤーに変換してくれるんですが、念のため…)
他にも数値編集が必要なところを確認していきます。(本当は上から順番に確認していけば良いのですが、解説的に同じ処理を纏めてみました。)
長方形選択範囲次にサイズが問題になるのは、「長方形選択範囲」の項目です。
開いてみると分かるのですが、「全て選択」で記録しても、記録時の画像の最大サイズが自動的に入ってしまうんですね。
なので、ここでも当然のように「下 300」「右 300」が記述されています。
そこでここの数値も先ほどと同様、16960という数値に変更します。
このサイズに関連した数値には、下、右といった記述ではなく、幅、高さといった記述がされている場合もあります。(例:レイヤーの新規作成)
その場合も作業的には、同じです。
ただし、「新規レイヤー」については、16960という最大値を入れても構いませんが、幅と高さに両方「1」を入れてもOKなようです。(透明だから?実は両方0を入れても矛盾せずに再生されるのですが、Painter内の数値編集では最小値が1~になっているので、仕方なく)

●不要な記述の削除

次に手順の中でも重複していたりする不要な部分を削除します。
最初に「スクリプトを開く」で開かれた図を見てもらうと分かるんですが、「レイヤーに変換」の次に「レイヤー:透明度のロック」という項目が二つ続けて存在しています。
中身を見てみると、上が「ロック オフ」下が「ロック オン」になっています。
実は、記録前に透明度ロックのチェックを外し忘れて記録を始めたので、記録中にオフとオンを繰り返してしまった結果です。
再生する時には、現在の状態に関係なく、ロック オンにするという記述があれば、ロック オンされます。
なので、たとえ再生作業時に透明度の状態がどちらであっても「ロック オフ」という記述は不要ということになります。
そこで、「レイヤー:透明度のロック」の「ロック オフ」の項目は削除してしまいます。
記録中に「透明度ロック」がオンになっているので、そのままでよいという場合も一旦チェックをつけ直してくださいと前述したのは、このためでした。
その他にも、11ではカラーコントロールから色取得が出来ないのですが、他のバージョンでカラーコントロールから色取得した場合、一度に目的の色が選択出来ていなくて、何行にも渡ってカラーが取得されている場合があります。
こういった場合も、最終的に選択したい色の記述のみで問題ないので、途中のカラーの記述は全て削除出来ます。
こんな感じで段々とすっきりさせていきます。

●スクリプトの追加(コピー&ペースト)

今回は、11を使っていたので、カラーの選択がこのスクリプトの中には記述されていません。
本来は「塗りつぶし」の処理の前に「カラー」という項目が必要になります。
これを追加しないといけない訳です。
残念ながら、スクリプトの一部を後から追加記録するという機能はついていません。
それでは、このスクリプトは一から作り直し?と思われるかもしれませんが、そうではありません。
追加記録は出来ませんが、コピーペーストなら可能なんです。
コピーペーストは他のスクリプトからも可能です。
もちろん、同一のスクリプト内に記述があれば、そこからコピーも可能です。
が、今回は、カラー選択の項目がないので、他のスクリプトからコピーしてくることにします。
その作業のために、この「線画抽出」のスクリプトは一旦「閉じる」事にします。
スクリプト編集には、上書き保存などはなくて、数値を書き換えたり、項目を消去したりした時点で、その内容が保存されます。
逆をいえば、間違って消去してしまった項目は元に戻せないということですね…残念ながら…。
数値は再度編集し直せばよいですが…(笑)
スクリプトパレットメニューから「スクリプトを閉じる」をおこなって、このスクリプト内容を閉じます。
さて、カラー選択ですが、別のスクリプトというのも今のところ存在しないので、新たに記録することにします。
11ではカラートライアングルからの色取得は不可なので、ミキサーかカラーセットに黒を置いておきます(普通カラーセットに黒はあると思いますが…(笑))
スクリプトの記録ボタンを押して、カラーセットかミキサーから黒を選択して、スクリプトを停止します。
名前は適当に、色取得でもテストでも…。
カラー取得その後、今作ったスクリプトを開きます。
すると、「カラー」という項目があり、開くと「カラー 赤:0 緑:0 青:0」と表示されているはずです。
この「カラー」の項目を選択して、右クリックから「コピー」を選びます。(左図はパレットメニューのコピーを使用している図)
このスクリプトはこれで不要なので、「スクリプトを閉じる」で閉じます。
再度、先ほどの「線画抽出」のスクリプトを開きます。
ペースト「塗りつぶし(不透明度)」という項目の前に選択色が必要になりますので、「塗りつぶし(不透明度)」を選択後、右クリックして「ペースト」します。
ペーストされる場所は、選択している項目の上になります。
つまりスクリプトの一番下にはペースト出来ないんですね…(^^;)
なので、一番下にペーストしそうな時には、「終了時刻」を残しておくといいかもしれません。
或いは、一番下の一つ上にペーストして、カット&ペーストで正しい位置に動かす等する必要があります。
項目がドラッグで位置変更出来るといいんですけどねぇ…(^^;)
記述が足りない場合以外にも、使っていて、これも含めればよかったという事があります。
例えば、今回の「線画抽出」では、スクリプト再生後に透明度ロックはオフになるようにした方がいいなぁと思ったので、「アイテム/制御ポイント」前に再度「透明度ロック」をオフにするスクリプトをコピーペースト、最後にツールをブラシの状態で終わりたかった(次にすぐに描き始められるように)ので、最後に「ツールを選択」という項目も後で新規に記録して、コピーペーストしてきました。
(何故か、記録時に「ブラシツール」を選択したのに、「拡大ツール」と記述されます。でも再生すると「ブラシツール」ですけど…(笑))
こんな感じで、再生していてスクリプトに入るといいなぁというものがあれば、コピーペーストで追加すると良いと思います。
この時、注意したいのは、どこにその記述を入れるか…という事です。
Painterのスクリプトの場合、レイヤーを後から個別に選択することが出来ません。例えば、「アイテム/制御ポイント」でレイヤーからキャンバスに変更することは可能ですが、その後に作成したレイヤーに直接戻ってくることが出来ないのです。
もちろんレイヤーが一枚だけなら、レイヤーとキャンバスを往復することは出来ます。が、汎用的に使う…という以上、レイヤーが必ず一枚しかないという保証はありません。レイヤーが二枚以上になった場合、どのレイヤーを選択するか…という事を決めることが出来ません。
その為、レイヤー上で行う作業は纏めてそのレイヤーが選択されている時におこなわなければいけないのです。
「透明度ロック」のオンオフくらいならば、最悪どのレイヤーを選択していようと問題ありませんが、レイヤーの合成方法を選択するといったようなことは、難しくなります。
例えば、今回の「線画抽出」で線画のレイヤーを常に「乗算」に変更したいとします。
この場合は、レイヤーの合成方法を変換する記述を入れる訳ですが、途中の「アイテム/制御ポイント」でキャンバスに選択が移る前にこの作業を入れなければなりません。

●その他

記録したつもりの記述がきちんと出来ていないことがあります。
例えば、今回の「消去」ですが、11の場合、「BackSpace」で消去すれば、上手く記録してくれるのですが、バージョンによっては上手く記録再生されずに選択範囲が残ってしまったり、スクリプトが止まってしまう場合があります。(我が家のIX)
そのような場合は、同じようなことが出来る別の方法がないかを探してみます。
例えば、BackSpaceの代わりに、ツールバーの「編集」→「消去」、「選択」→「選択解除」で代用します。
(余談:逆に11は何故か、「編集」→「消去」後「選択」→「選択解除」が記録されません…(^^;)他バージョンで記録されたものは正しく再生されるようですが…。)
ここまで出来たら、完成です。

3. 完成と利用法 

5.完成

もう一度、再生テストをして上手くいっていれば(記録時よりも大きなサイズの画像で試すと、正しく出来ているかが確認出来ます)OKです。
もし、上手くいかなければ、画像を元に戻した後「コマ送り」をおこなってみてください。
スクリプトの記述を1行ずつ再生してくれます。
どこで、処理が間違っているかを確認して、再度修正をおこなってください。
もしかすると、意図したことが出来ないかもしれませんが、その辺りは段々と慣れてきて、出来ることと出来ないことが分かってくるかなと思います。
結構「あたって砕けろ」な感じです…(笑)

6. カスタムパレット化

さて、スクリプトは無事完成しましたが、このままではちょっと不便です。
何故といって、毎回スクリプトパレットを表示させておかなければならず、その度にスクリプト選択、再生と作業をする必要があります。
これでは、手間です。
そこで、スクリプトもカスタムパレットにおいてしまいましょう。
スクリプトをカスタムパレットにおく方法はブラシバリアントなどと同じです。
スクリプトセレクタでカスタムパレットにしたいスクリプトを選択して、適当な位置にドラッグ(既にあるカスタムパレット内に入れたい場合は、その中にドラッグです)するだけです。

カスタムパレット左図のような感じで、カスタムパレット化することが出来ます。
そしてここで、記録時の画像をこんな感じにしておいたことが役に立つんですねぇ~~(笑)
スクリプトのカスタムパレットはボタンをクリックするだけで、スクリプトの選択から再生までおこなってくれます。
線画の画像を開いて、カスタムパレットのボタンを押すだけで、背景が透明な線画のレイヤーが作成されます。
これなら例のプラグインレイヤーにも負けません(多分)。
そんな訳で、他にも役立ちそうなものを作ってみましょう。
少し注意したいところもあるので、もうしばらくお付き合いください。

2.他にも作ってみる 

7.その他、役立ちそうなスクリプト(クリッピングマスクもどき?)

線画抽出以外にも、Photoshopのクリッピングマスクのようなものも作れます。
クリッピングマスク自体はPainterにない為、レイヤーマスクを利用するのでレイヤーマスク嫌いな人にはお勧め出来ませんけど…(笑)
手順例(クリックで開きます)

  1. クリッピングマスクの元になるレイヤーを複製
  2. 複製したレイヤーで「透明度からレイヤーマスク作成」でレイヤーマスクを作成
  3. 複製した画像自体(レイヤーマスクではない)を透明な状態にする為に「全て選択」後「消去」
  4. この後は任意ですが、デフォルトレイヤーの場合、「下の色を拾う」が必要になることが多いので、このチェックをオンにする

影になる部分をデフォルトの別レイヤーではみ出さずに塗りたいという作業を希望する場合には、良いんじゃないでしょうか。
影つけは別の乗算レイヤーでするという方は、レイヤーマスクを作成しなくても出来ます。
乗算レイヤーにする場合(クリックで開きます)

  1. 元になるレイヤーを複製
  2. 「透明度ロック」をオンにして、白色を選択
  3. 編集→塗りつぶし後、合成方法を乗算に変更

「透明度ロック」をオンの状態で描きますが、事前に白色で塗りつぶしてあるので、よく問題にされる「黒を引きずる」問題も出ません。

毎回、作業をするのが面倒なものは、こんな感じでスクリプト化すると随分楽になると思います。

8.複数レイヤーへの対処 ― 「アイテム選択パス」は必要か? ―

最後に複数レイヤーでのスクリプト時の注意点などを。
試しに、レイヤーを新規作成してそのレイヤーの合成方法を「乗算」にするというスクリプトを作ってみましょう。
手順は、1.レイヤーの新規作成、2.合成方法を乗算に変更…と、記録だけなら…至って簡単です。
出来たスクリプトを開いてみると、「レイヤーの作成」「アイテム選択パス」「レイヤー:合成方法」という3項目からなっています。
特に問題なさそうなので、再生テストをしてみます。
レイヤーがない状態(キャンバスのみ)で再生すると、正しく再生されます。
では、もう一枚レイヤーを作ってみたいので、レイヤーが一枚ある状態で、このスクリプトを再生させてみます。
すると、2枚目のレイヤーは出来ますが、合成方法が変わりません。
これでは、役に立ちません。
そこで、「コマ送り」再生で問題箇所を確認します。
確認してみると、「レイヤー:合成方法」の前で、レイヤーが一番下の一枚目に選択変更されているんですね。
その為に、何枚レイヤーを作っても、必ず一番下のレイヤーの合成方法のみが毎回「乗算」にされてしまうということになります。
新規作成したレイヤーをそのまま選択状態にしておきたいのですが、このままでは上手くいきません。
こんな場合は、「アイテム選択パス」という項目を消去してください。
この項目がレイヤーの選択変更を行っている原因みたいです。
スクリプトの項目を「レイヤーの作成」と「レイヤー:合成方法」のみにすると、新規作成されたレイヤーに対して、合成方法を変更してくれます。
これで何枚レイヤーがあろうと、新しい乗算レイヤーを作ることが出来るようになります。
この「アイテム選択パス」は時々レイヤーに対して作られたりするのですが、再生時には意図しないレイヤー切り替えを勝手にやってしまうみたいなのです。
開いてみて、「アイテム選択パス」という項目があれば、本当に必要かどうかを試してみてください。
(「アイテム選択パス」を「カット」した状態で再生。これで上手くいけば不要。やはり必要ならば、再度ペーストすれば元通りです)
新レイヤーを乗算にすることが出来たので、例えば、黒で塗りつぶして合成を「スクリーン」にしたレイヤーを新規作成する、ということも出来るようになります。
これも結構頻繁に使うのですが、作るのが面倒なんで、スクリプトにしておくと楽な作業です。
色々便利に使えますが、現在選択中のレイヤーに対してしか処理は出来ないので、例えば、「レイヤー4」に対して(あるいは○○という名前のレイヤーに対して)作業をしろ…というようなスクリプトを書くことは出来ません。
それが出来るようになるのと、Photoshopのように項目を追記出来るようになると、もっと使い勝手が上がると思うんですけど…。
まぁ、その前に色々あるバグを…ごにょごにょ。

9.最後に

何が出来て出来ないか…は実際にやってみないとなんとも言えないので慣れが必要ですが、アクションとして使ってもなかなか役に立つスクリプト機能ですので、時間がある時には、よく使うんだけど毎回の手順が面倒…というものを登録してみてはいかがでしょうか。
ちなみに「連番保存」をスクリプト中に取り込めないかと思ったら、最近の機能だからか「記録」しても再生すると通常の「上書き保存」になってしまうようで…使えませんでした…(^^;)

ここまで随分と長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました(__)
今回作成した「線画抽出」「クリッピングマスクもどき(レイヤーマスク使用)」「黒スクリーンレイヤー(黒で塗りつぶして、合成方法をスクリーンにしたレイヤー)新規作成」「複製レイヤーを乗算に」の四つのスクリプトをスクリプトライブラリの形式で用意してみました。
スクリプトライブラリ形式ですので、ライブラリを使っての作業(ライブラリの編集など)が出来る方のみお持ち帰りください。(使いたいけど、使い方が分からないという方は別途「質問箱」などをご利用ください。)
また、スクリプトの利用やそれに伴う作業は自己責任でお願いいたします。
大事な画像にスクリプトを使う場合は、事前保存とか…既にあるスクリプトのバックアップなど、その辺りへの対処はご自身でよろしくお願いいたします(__)
chara_script01.zip (19KB) (解凍すると、chara_script01.ssdというファイルが出来ます。)
(Painter IX~Painter 11まで対応しています。スクリプトの作成バージョンは9です)

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